前回のエントリー
たくさんのインスパイアをもらえる熱力学の教科書 - hiroyukikojima’s blog
で予告した新著が、いよいよ今週末に書店に並ぶので、今回から数回、販促をエントリーすることにしたい。新著は、小島寛之『素数ほどステキな数はない』技術評論社である。
この本は、素数についてめちゃくちゃ真正面から取り組んだ本だ。初歩から発展まで、古典から最先端まで網羅して解説している。
ぼくには既に、素数の性質を解説した本として、『世界は素数でできている』角川新書がある。この本とどこが違うかというと、今度の本は多くの定理にきちんと証明を与えている(あるいは証明のポイントを与えている)、ということだ。しかも、数学を専門に勉強したことがなくても、がんばればどうにか理解できるぐらいの平易さと丁寧さで証明を解説しているのである。これは、新書ではとてもできない芸当だった。だから、角川新書版はほとんどを「お話」に終始している。しかし、今回の本は、351ページものページ数(めっちゃ大部じゃ)を与えてもらえたので、じっくりと、そして道具立ての初歩から、解説を展開することができたのだ。
今回は、まず、目次と各章の簡単なあらすじを晒すことにしよう。章名は、趣向として、将棋の棋士の等級に合わせた。以下である。
『素数ほどステキな数はない』目次と概要
[入門編] 素数ほど面白い数はない
(素数の末尾の法則、双子素数予想、ゴールドバッハ予想、メルセンヌ素数)
[初段編] なぜ、素数は無限にある?
[二段編] 数列の中の素数
(等差数列を成す素数、オイラーの素数2次式、メルセンヌ素数とリュカテスト)
[三段編] 対数関数と素数
(対数の定義、素数定理、チェビシェフ第1関数と第2関数)
[四段編] 合同式と素数とRSA暗号~フェルマーの小定理、オイラーの定理
(合同式、フェルマーの小定理の証明、オイラーの定理の証明、ウィルソンの定理の証明、RSA暗号の仕組みと電子署名)
[五段編] 順列・組合せと素数~素数定理への最初のアプローチ
(組合せ数の公式、フェルマーの小定理の証明、素数定理の直感的導出)
(無限和の定義、オイラーの素数定理、エルデシュによる証明、双子素数)
(複素数、フェルマー2平方定理、ガウス素数による証明、平方剰余、2次体)
(微分、ランダウ記号、積分、微積分学の基本定理、対数積分Li(x))
[九段編] ラマヌジャンとベルトラン=チェビシェフの定理~ψ(x)による証明
(ベルトラン予想、ラマヌジャンによる証明の完全収録)
(複素関数の微分積分、オイラーの公式、コーシーの積分定理、コーシーの積分公式、ガンマ関数、解析接続)
(ゼータ関数、オイラー積、リーマン予想、オイラー素数定理の証明、ディリクレの算術級数定理の証明、明示公式の証明、素数定理の証明)
ご覧の通り、素数ファンにはよだれの出る素数ずくしのメニュー。どの編にも、ぼくの素数愛がみなぎっているので、きっと微笑みながら読み通せるはずだ。
さあ、書店に急ごう。