『週間文春』3月14日号に拙著『暗号通貨の経済学 21世紀の貨幣論』講談社選書メチエの書評が掲載された。
評者は波多野聖さんという作家の方。非常にすばらしい書評でとてもうれしかった。なので、皆さんにも是非、読んでいただきたい。「文春オンライン」で読めるので、リンクを貼る。
暗号通貨を創り出す“技術”はいかがわしい? 「ブロックチェーン」の可能性とは? | 文春オンライン
これだけで終わってはなんなので、前回、
小学生向けの統計学の絵本が刊行されます! - hiroyukikojima’s blog
で紹介した小学生向けの統計本の新著について、もう一押ししておこう。
前回は「小学生向けのまえがき」を引用したが、今回は「保護者向けのまえがき」を引用する。
現在、文科省の算数・数学教育の方針として、統計学教育が強化されています。高校では、統計学が数学の一分野としてほぼ必修化され、それに伴い、中学校でも小学校でも、その下地作りの統計学習が導入されます。
このことには、良い点と悪い点があります。
良い点というのは、数学嫌いの子供もひょっとすると統計は好きになれるかもしれない、という点です。統計というのは、世の中の「事実」を数字で捉える技術です。算数は抽象的でややこしい作業ですが、統計は具体的であり、身の回りのこと、目に見えることを扱っていますから、子供が興味を持てる可能性があります。統計が身近になれば、社会にも理科にも興味が持てるようになるでしょう。
他方、悪い点というのは、統計の「数字」や「グラフ」を見るには、ある程度訓練と慣れが必要だ、という点です。しかし、最初に下手な教育を受けると、算数嫌いに加えて、統計嫌いなるという、二重苦を背負いかねません。
だから、最初が肝心なのです。大事なのは次の二点です。
- あたりまえのこと、基本中の基本をきちんと教わること
- 面白い統計を例として見ること
本書は、この二点を踏まえて作られています。できたら、保護者の皆さんも、子供さんの傍らで、一緒に本書を読んでください。そして、本書に出て来る統計について、「そうなんだ」とか「そうなのかなあ」とか「ふしぎだね」とか「他はどうかな」など、子供さんとあれこれ議論をかわしてみてください。きっと、子供さんは、あなたと一緒に、世界を冒険している気分になると思います。そして、世界の「事実」に興味を持つようになると思います。
一部の家庭を除けば、子供と保護者が仲良く教科についての会話ができるのは、小学生のうちだけだろう。その時間は、とても大事だと思う。その貴重な交流の題材として本書を利用していただければ嬉しい。